「児童扶養手当って、年収がいくらまでならもらえるの?」
離婚してひとり親になったとき、児童扶養手当について調べていると「所得制限」という言葉が出てきます。
でも、ここで分かりにくいのが、児童扶養手当は「年収○万円以下ならもらえる」という単純な仕組みではないこと。
基準になるのは「年収」ではなく、一定の計算をした「所得」です。
この記事では、児童扶養手当の所得制限について、
- 所得制限とは何か
- 全部支給・一部支給・支給停止の違い
- 「年収」と「所得」は何が違うのか
- 扶養親族等の人数で限度額がどう変わるのか
- 自分の場合の所得をどう確認すればいいのか
をできるだけ分かりやすく解説します。
児童扶養手当の「所得制限」とは?
児童扶養手当には、受給者の所得に応じた所得制限があります。
所得が一定の範囲内であれば全部支給または一部支給となりますが、所得が一定額以上になると支給されなくなります。
つまり、児童扶養手当は「ひとり親なら全員が同じ金額をもらえる」という制度ではなく、所得に応じて支給額が変わる仕組みになっています。
令和8年度の場合、受給資格者本人の所得について、扶養親族等の人数に応じて「全部支給」と「一部支給」の所得制限限度額が設定されています。
| 扶養親族等の数 | 全部支給 | 一部支給 |
|---|---|---|
| 0人 | 69万円 | 208万円 |
| 1人 | 107万円 | 246万円 |
| 2人 | 145万円 | 284万円 |
| 3人 | 183万円 | 322万円 |
| 4人 | 221万円 | 360万円 |
| 5人 | 259万円 | 398万円 |
※令和8年度の所得制限限度額です。制度改正や物価変動などによって変更されることがあるため、最新の情報も確認してください。

「扶養親族等の数」というのは、簡単に言うと税金上で扶養している子どもの人数のことです。
例えば扶養親族等が1人の場合、本人の所得が107万円未満なら全部支給、107万円以上246万円未満なら一部支給の対象となります。
そして、246万円以上になると、児童扶養手当は支給されなくなります(支給停止)。
ただし、ここで非常に重要なのが、表に書かれている69万円・107万円・246万円などは「年収」ではないということです。
児童扶養手当は「年収○万円まで」ではない
児童扶養手当について調べていると、
- 年収300万円ならもらえる?
- 年収400万円だと対象外?
- パートならいくらまで働ける?
という疑問が出てくると思います。
でも、児童扶養手当の所得制限は年収そのものを基準にしているわけではありません。
給与収入がある場合は、給与所得控除などを反映したうえで所得を計算します。
さらに、児童扶養手当の所得計算では、養育費の8割相当額を加算したり、一定の控除を差し引いたりします。
そのため、同じ年収でも、養育費や控除などの状況によって判定に使われる所得が変わることがあります。

なので、「年収が○万円だから児童扶養手当はもらえない」とすぐに判断しないことが大切です。
※自治体や国が提示している「年収の目安(190万円など)」は、『給与収入のみ・養育費なし・特別な控除なし』という標準的なパターンを前提にした概算です。
養育費を受け取っていたり、医療費控除やiDeCo(小規模企業共済等掛金控除)などの控除を活用している場合は、実際の判定に使われる「所得」が大きく変わってきます。
→こども家庭庁「ひとり親のご家庭へ、大切なお知らせ(PDF/258KB)」に所得と年収目安が記載されています。
「年収」と「所得」は何が違う?
ここで、児童扶養手当を調べるときに混乱しやすい「年収」と「所得」の違いを整理しておきましょう。
| 言葉 | 簡単にいうと |
|---|---|
| 年収・給与収入 | 勤務先などから受け取った給与の年間の金額 |
| 所得 | 収入から給与所得控除などを反映して計算した金額 |
例えば会社員やパートなど給与を受け取っている人の場合、受け取った給与の金額がそのまま「所得」になるわけではありません。
給与収入から給与所得控除などを反映して、所得を計算します。
さらに児童扶養手当では、そこから一定の控除を差し引いたり、養育費の8割相当額を加えたりして、支給判定に使う所得を計算します。
そのため、児童扶養手当の所得制限を見るときは、給与明細や源泉徴収票に書かれている「年収」だけを見て判断しないことが大切です。
扶養親族等の人数によって所得制限が変わる
児童扶養手当の所得制限は、誰でも同じ金額というわけではありません。
扶養親族等の数によって所得制限限度額が変わります。
例えば令和8年度の場合、全部支給の所得制限限度額は、扶養親族等が0人なら69万円、1人なら107万円、2人なら145万円というように増えていきます。
そのため、「児童扶養手当は所得107万円まで」と覚えてしまうのは正確ではありません。
自分の状況に合わせて、扶養親族等の人数と所得制限限度額を確認する必要があります。
子どもの親権を持っていても、税金上で元配偶者の扶養に入ったままになっていると、手当の計算で「扶養0人」として扱われてしまう場合があります。
税金上の扶養の注意点や体験談については、【体験談】児童扶養手当はいつからもらえる?扶養・所得制限・必要書類をわかりやすく解説 の記事でも詳しく解説しています。
所得が制限額を超えるとどうなる?
所得が増えると、児童扶養手当は次のように変わります。
- 全部支給:所得が全部支給の所得制限限度額未満
- 一部支給:全部支給の限度額以上、一部支給の限度額未満
- 支給停止:一部支給の限度額以上
ここで注意したいのが、全部支給の限度額を少し超えたからといって、いきなり手当がゼロになるわけではないということです。
一部支給の範囲に入れば、所得に応じて手当の額が少しずつ減っていきます。
つまり、所得が増えた場合も「働いた分だけ手当が減って、結果的に収入が増えない」という単純な仕組みではありません。
こども家庭庁の令和8年度資料でも、就労等によって収入が増えるにつれて、手当を含めた総収入が増える仕組みとして示されています。
同居する家族の所得も確認が必要な場合がある
児童扶養手当の所得制限で注意したいのは、受給者本人の所得だけを確認すればいいとは限らないことです。
受給者と生計を同じくする扶養義務者がいる場合、その人の所得が所得制限限度額以上になると、本人の所得にかかわらず手当が全部支給停止となる場合があります。
例えば、実家に戻って親と同居する場合などは、受給者本人だけでなく、同居する家族の所得についても確認が必要になることがあります。
この点は、離婚後の住まいを考えるときにも知っておきたいポイントです。
自分の「所得」はどうやって計算する?
ここまで読むと、
「じゃあ、私の場合の所得はいくらになるの?」
と思いますよね。
児童扶養手当の所得は、単純に「年収-○万円」というだけでは計算できません。
給与収入がある場合は給与所得控除などを反映し、さらに養育費や各種控除なども確認する必要があります。
具体的な計算方法については、 児童扶養手当の所得はどう計算する?給与・養育費・控除を詳しく解説で詳しく解説しています。
養育費を受け取っている場合はどうなる?
離婚後に元配偶者から養育費を受け取っている場合は、所得制限を考えるときにもう一つ注意したいことがあります。
児童扶養手当の所得計算では、養育費の8割相当額が所得に加算されます。
そのため、給与収入だけを見て「所得制限には引っかからない」と判断することはできません。
まとめ|児童扶養手当は「年収」ではなく「所得」で見る
児童扶養手当の所得制限で、まず覚えておきたいポイントは次のとおりです。
- 児童扶養手当には所得制限がある
- 全部支給・一部支給・支給停止の3つの状態がある
- 所得制限の基準は「年収」ではなく「所得」
- 扶養親族等の人数によって限度額が変わる
- 養育費の8割相当額なども所得計算に影響する
- 同居する扶養義務者の所得が影響する場合もある
「年収が○万円だからもらえない」と簡単に判断するのではなく、まずは自分の所得を確認してみましょう。
実際に児童扶養手当の所得を計算する方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。



